Round1 IshiharaTakashi vs. Noguchi Tadanobu

By Shimizu Naoki


参加者、なんと256人。あと1人いればスイスドロー9回戦になってしまうほどの大人数だったがなんとか8回戦で納まった。それでも長い8回戦、勝ち残るのはわずかに8人。その最初のラウンドが幕を開ける。


昨年度の東京チャンプ
  石原 隆志
東京都選手権最初のフィーチャーマッチは前年度チャンピオンの石原隆志の試合をお送りしよう。対するは、普段は友達の家でマジックを楽しみ、選手権は初出場という野口忠信。

野口のデッキは青単で《ダル追われの流れ者/Drifter il-Dal(TSP)》《コー追われの物あさり/Looter il-Kor(TSP)》などを《不安定性突然変異/Unstable Mutation(TSB)》で強化し、《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》などのカウンターで援護する。さながら往年の「フィッシュ」を思わせる。

挑戦を受ける石原は前の環境では《よりよい品物/Greater Good(9ED)》を愛用していたが、神河ドラゴンの退場後これは流石に厳しい。持ってきたデッキは「太陽拳」のようなリアニメートエンジンを組み込んだ青白赤のトリコロールだ。《蘇生/Resurrection(TSB)》のタイムシフトにより、黒はもはや必要なく、リアニメートの対象には《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》などが加わっている。

コントロール対クロックパーミッションという、前環境でもしばしば見られたこの対戦。前年度チャンプ石原が貫禄を見せ付けるか、それとも野口が金星をあげるか。結果は果たして!?


Game 1
ダイスロールの結果先行は野口。
その第一ターンは《島/Island(TSP)》から《手練/Sleight of Hand(9ED)》、次のターンも《手練/Sleight of Hand(9ED)》で手札を整える。しかし相手はトリコロール、できればこの2ターンの間にクロックを用意しておきたかったところだが・・・
石原は2ターン目に《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》を設置し、順調な立ち上がりを見せる。
3ターン目には土地を置くのみでターンを返した野口だが、石原はさらにセットランドから《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》《イゼットの印鑑/Izzet Signet(GPT)》と並べマナを伸ばす。次のターンにはもう7マナが出せてしまう状況だ。
4ターン目、野口の場にようやくクリーチャーが現れる。が、しかしそれは正体不明の変異。この中身が全く把握できない石原は明らかに困惑の表情を見せる。
余談になるが、変異が初登場したオンスロートブロックでは変異といえば《賛美されし天使/Exalted Angel(ONS)》であった。3マナで裏向きでクリーチャーを呼べば、「あ、天使ね」というのがよく見られた光景だ。「天使裏で出します」という宣言をしてしまうプレイヤーすらいた。
だが時のらせんで復活した変異は、なかなか優秀だ。《セロン教の隠遁者/Thelonite Hermit(TSP)》、《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter(TSP)》、《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》などなど、環境的にトーナメントでよく見かけてもおかしくないカードが多い。それは同時に、「変異の正体を見破る」という新たな駆け引きがそこにあるということでもある。本来ならばオンスロートブロックで行われるべきだったが。

試合に戻ろう。
石原はこの変異に対し《入念な考慮/Careful Consideration(TSP)》でカードを引き、手札に《蘇生/Resurrection(TSB)》があるため《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》を捨て、リアニメートの準備を整える。
返すターン、ただの2/2だったはずの野口の変異は、さらに《不安定性突然変異/Unstable Mutation(TSB)》を遂げる。5/5に膨れ上がった変異の攻撃により石原のライフが大きく削られる。
対処を求められた石原は、《神聖なる泉/Hallowed Fountain(DIS)》をアンタップインしてターンを返す。4/4と少しおとなしくなった変異の攻撃に対し瞬速で《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》を召喚・・・しようとするがこれは《取り消し/Cancel(TSP)》。4点のダメージを受けて石原のライフは9。
これ以上のダメージは許すわけにはいかない石原は《蘇生/Resurrection(TSB)》を《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》にプレイ。これが通り、甦った《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》の業火が変異を焼き払う。その正体は《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》。対象がプレイヤーにも1点入ってしまっているので能力によって跳ね返すことが出来ない。
ここからさらにもう1枚 の《蘇生/Resurrection(TSB)》で《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》を復活させようとするもこれは流石に《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》で阻まれる。

返すターン、真紅の巨竜を前に現れたクリーチャーはなんと《イクシドロン/Ixidron(TSP)》!!
しかし場にある変異は1体のみ、これでは攻撃にいけないと考えた野口は《立ち退きの印/Mark of Eviction(RAV)》を変異(ヘルカイト)にエンチャント。
攻撃を続けたい石原は《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》を追加、返すターンで変異(ヘルカイト)は手札に帰り、変異が場にいなくなってしまったため同時に《イクシドロン/Ixidron(TSP)》もご退場。
野口は攻め手として《ダル追われの流れ者/Drifter il-Dal(TSP)》を召喚。
《立ち退きの印/Mark of Eviction(RAV)》が今度は《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》につけられ、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》を呼んでみるものの《取り消し/Cancel(TSP)》されたため場にクリーチャーがいなくなった石原は、《ダル追われの流れ者/Drifter il-Dal(TSP)》1体に対して《神の怒り/Wrath of God(9ED)》。
この後息切れを起こしてしまった野口は《立ち退きの印/Mark of Eviction(RAV)》で妨害はしてみるものの《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》と《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》の猛攻を止めることはできなかった。
 

石原 1-0 野口


Game 2

野口が先行。
土地を置くだけで他に何もなく静かに始まった2ゲーム目は
石原は後手2ターン目《アゾリウスの大法官庁/Azorius Chancery(DIS)》から《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》をディスカード。
マリガン無し、後手という条件でできるリアニメート準備として太陽拳でもよく使われたプレイングだ。島、島と順調に土地を並べたかのように見えた野口だがここで土地が止まってしまう。仕方がなく《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》を素で召喚。これはまさに青い《従者/Squire(TSB)》だ。
石原は《宮廷の軽騎兵/Court Hussar(DIS)》でこれを迎え撃つ。
次のターン、《不安定性突然変異/Unstable Mutation(TSB)》を《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》にエンチャントして攻撃を開始。石原は《宮廷の軽騎兵/Court Hussar(DIS)》でこれを防ぐと返すターンで《神の怒り/Wrath of God(9ED)》・・・は《マナ漏出/Mana Leak(8ED)》によって鎮められる。
その直後、さらに《不安定性突然変異/Unstable Mutation(TSB)》によって巨大化した《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》が石原に襲い掛かる。これはまずいと石原は再び《神の怒り/Wrath of God(9ED)》で除去を試みるも今度は《交錯の混乱/Muddle the Mixture(RAV)》。
やられてばかりではいられない石原、《神聖なる泉/Hallowed Fountain(DIS)》をアンタップで置いて《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》を警戒しながら《蘇生/Resurrection(TSB)》で《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》を復活させることに成功する。
さらにフルタップで《道化の王笏/Jester’s Scepter(CSP)》を設置、取除かれた5枚のなかには4枚の呪文が。
《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》の対処に迫られた野口は《立ち退きの印/Mark of Eviction(RAV)》をエンチャント。さらに自分の《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》に《立ち退きの印/Mark of Eviction(RAV)》をエンチャント。これによって《不安定性突然変異/Unstable Mutation(TSB)》を再利用しようという構えだ。

青単クロックパーミッション野口
青にライフ4は黄色信号
そんなことは許せない石原は《蒸気孔/Steam Vents(GPT)》をアンタップで置いて《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》をメインフェイズに召喚、オーラが計3枚付いた《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》を除去する。このとき《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie(CSP)》は起動しなかったのだが、はたして《従者/Squire(TSB)》などいらないという余裕の表れなのか。
攻撃の手が欲しい野口は《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling(TSP)》を召喚し、《立ち退きの印/Mark of Eviction(RAV)》を《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》へ。このとき石原のライフは6。2回のショックランドのアンタップインが効いている。
このドレイクに対し、石原は《宮廷の軽騎兵/Court Hussar(DIS)》、《入念な考慮/Careful Consideration(TSP)》で手札を整えることを選択した。
ドレイクの攻撃によって石原のライフは4となる。青に対してライフ4、これはこの環境ではいささか危険に思える。《心霊破/Psionic Blast(TSB)》がタイムシフトしているからだ。石原には今のところ《心霊破/Psionic Blast(TSB)》に対する対処方法がない。
しかし《心霊破/Psionic Blast(TSB)》が手札にない野口、《ダル追われの流れ者/Drifter il-Dal(TSP)》を呼ぶだけでターンを返す。
石原の《蘇生/Resurrection(TSB)》→《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》を《取り消し/Cancel(TSP)》するも、《道化の王笏/Jester’s Scepter(CSP)》で阻まれた野口は心が折れたのかカードを片付けた。


石原 2-0 野口

8回戦の長丁場、大事な大事なその初戦、石原は着実な白星をあげた!

Result: 石原隆志 win